VOCALOID
□距離感
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「もぅっ!いい加減にしてください!」
痺れを切らしたルカが怒ると、がくぽは少し吹き出した。
「何が可笑しいんですか?!」
「そんなに不便か?」
「そりゃもう全然周りが見えなくて不便…」
と、ルカが言い終わらないうちにがくぽはルカに顔を寄せた。
急に目の前に来た彼の顔に思わず目を逸らす。
「ルカ殿。きちんと俺の顔を見て」
仕方がなくがくぽに視線を移すも何処を見つめておけば良いのかが分からずチラチラと見るような形になった。
「この距離でもまだぼやけるか?」
息がかかるほど近くにがくぽの顔があるのに。
今度は近すぎてぼやけて見えた。
「ち、近すぎてぼやけてます…」
絞り出すように答えて、
今すぐにでも顔を背けたくなるような恥ずかしさに身を震わせた。
何だか体の熱が頬に集中しているようだった。
ルカに眼鏡をかけて、がくぽは顔を離した。
振り向き様に妖艶に笑うと一言。
「うむ。距離感とは難しいな」
この人には勝てないと感じたルカだった。