VOCALOID

□そんな感じ
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もうすぐお昼になる時間だった。
私の部屋のインターホンが鳴る。
カメラに映った長身の男性は私の知らない人だった。
手には何やらラッピングされた箱…。
男性は宅配業者では無さそうだし、恐る恐る出てみた。

「はい…?」
「あ、はじめまして」

男性は低く甘い声で一言いい、頭を下げると手に持っていた包み紙を私に差し出した。

「隣に越してきました神威です。今後、よろしくお願いします」

彼の唇から溢れる音が何よりも心地よく聞こえた。
ずっと聞いていたくなるような感じ。
すると、彼は頭を上げて不思議そうな顔をして私を見た。

「あの…受け取ってもらってよろしいですか?」
「!あ、す、すみません」

慌てて彼の手から包みを受け取ると彼は柔らかく微笑んでくれた。
長い髪からはシャンプーいい香りがする。

「あ、私は巡音です。えと、何か困った事があったら相談しにきてくれても構いませんから!」
「ありがとうございます。心強いですね」

神威さんはもう一度頭を下げると、隣の部屋へと戻って行った。
彼の動きには無駄がないみたいにさらさらとしていてとても綺麗だった。
…うっかり見とれてしまっていたのは事実だ。
まだ少し、神威さんの香りが玄関に漂っていた。
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