罪と罰
□このままじゃ
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あれから数時間経ち、日もすっかり暮れて時は既に夜を迎えていた。
あれだけ騒がしかった豚の帽子亭も綺麗に片付いてしまっていた。
楽しい時間はあっという間というやつだ。
一段落着いて、オイラ達は一旦夜風を浴びに出た。
ずっと隣には君が居てくれて、今もまだ隣にいる。
本当に手が届いてしまいそうだ。
「楽しかったね〜!あーあ、明日には元の大きさに戻っちゃうのかぁ〜…」
つまらなそうにため息をついて君は続ける
駄目だ。このままじゃ。
このままこの時間を終わらせたくない。
「またいつか、こうして遊べるといいね!」
優しい月光に照らされて君の目はこれ以上ないくらい輝いていた。
そんないつかじゃ駄目。今すぐがいいんだ。
でないと次にチャンスなんて来るのかも分からないから。
「キング?」
君はオイラを覗きこむように傾げる。
気のせいか彼女の頬が濡れて光っている。
オイラだって、だてに700年君を想い続けていた訳ではないんだ。
想いは時を重ねるごとに高く、深くつもるから。
今のオイラは昔の700倍、君を好きでいるから
だけれども。今それを伝えたら君はどう思う?
綺麗に受け止めてくれる?
華麗に水に流してしまう?
それとも…それとも…________
全部壊してしまう?
それくらいなら。
「なんでもないよ。気にしないで?」
この気持ちはまだ閉じ込めていなければ。
今までと矛盾してるような気がするがそれは闇の悪戯だ。
そう。悪戯…