罪と罰

□君の中のオイラに
2ページ/6ページ

「……ディ、アンヌっ?」


心の奥が締め付けられるような感覚に襲われた。
勿論、ディアンヌが嘘をついてるようには見えない。
と言うか、目を覚ましたばかりなのだから混乱しているだけなのかも知れない。
頭を強く打ち付けてしまったのかもしれない。だとしたら大丈夫かな?
心配しちゃうじゃないか。


「も、もう、びっくりさせないでよディアンヌ!心臓に悪いじゃないか」

「…ごめん。本当にキミ誰?」


精一杯貼り付けた笑顔も呆気なく崩れ去った。
目を細めてオイラを見つめるディアンヌは団長を支えているエリザベス様にに視線を移し、表情が変わる。
まさか…エリザベス様の事も忘れて…?


「ねぇ、キミも誰なの?何で団長にそんなにくっついてるの?

「えっ?!えっと、メリオダス様の具合が良くないので………」


案の定、つきつけられた言葉に戸惑いを隠せないエリザベス様。
エリザベス様の視線がオイラに助けを求めるようにしているのでオイラも内心戸惑いながら、もう一度ディアンヌ問う。


「ディアンヌ、オイラだよ?ほら、キング」

「え、キミが?あははは、冗談はよしてよ!キングはキミみたいな男の子じゃなくて、ヒゲの生えた大きな妖精さんだよ?」

「それはそうだけど…」


背中に鉛でも乗せられた気分だ。
ディアンヌの記憶はどうやら十年前にまで遡っている様だ。
何故そんなことになったのか、オイラには検討もつかないけれど、とてつもない虚無感に襲われた。
どうしたらいいんだろう…

オイラの気持ちもよそにディアンヌはキョロキョロと自分の周辺を見回していた。


「あ、そうだメリオダス!ボクお腹空いちゃった」

「?あぁ、わかったちょっと待ってろ」

「うん!」


団長に手招きをされ、オイラ達は一旦ディアンヌのいる部屋を後にした。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ