:短編:
□桜舞い散る
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『本日は大変お日柄も良く、かぶき町は絶好の花見日和となっております……』
万事屋のテレビから、アナウンサーが笑顔でニュースを伝える明るい声が響いた。
桜が咲き乱れる公園を背景にした絵は、画面越しでも目を奪われる程に美観であった。
今、万事屋は朝食の時間。
「へー、結構綺麗だな」
「結構有名みたいですよ、この公園」
箸をくわえながら呟く銀時に対し、苦笑を漏らしながら補足を入れる新八。
……神楽はというと、テレビ画面をキラキラと子供のように輝いた瞳で見つめていた。
「銀ちゃん!新八!」
「あ?」
「何?」
「私達も花見しに行くアル!桜に囲まれてゴハン食べるネ!」
興奮を抑えきれずガタァンと机を揺らして立ち上がった神楽は、銀時と新八に向かって鼻息荒く誘い文句を放った。
ぽかんとする新八の横で、銀時は面倒臭そうな表情を浮かべる。
「花見ィ?んなもん、こうやってテレビの桜見ながら飯食ってんだろ。立派な花見じゃねーか」
これには神楽も少し膨れっ面を見せた。
「そうじゃないアル!本物の桜を見に行くんだヨ!前に姉御も一緒にやったダロ!」
「……真撰組もいたけどね……」
神楽の言いたいことが伝わった新八が、呟くようにツッコミを入れる。
そんな新八の言葉は2人に聞こえていないのか反応を示さず、銀時は嫌がる様子を隠さずにソファーの背凭れに身体を預ける。