:短編:
□桜舞い散る
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「前はアレだ。……お妙が怖かったから行ったが……。俺は行かねぇから新八と2人で行ってこい。弁当は俺が作ってやっから」
手をヒラヒラと振る銀時の姿を見て、いよいよ神楽は怒りに近い叫びを上げる。
「何で銀ちゃんは一緒に行かないネ!!そんなに私達と行きたくないアルか!?」
「そ、そうですよ銀さん。いいじゃないですか。最近は部屋にこもりっぱなしだったし、気分転換に3人で花見っていうのも……」
「流石駄眼鏡!言うことが違うネ!」
「誰が駄眼鏡だァァァァ!!」
新八と神楽は理解出来なかった。
ここまで花見を嫌がる銀時を。
新八も神楽と同意見であると知った銀時は少し眉を顰めた。しかし、その瞳が哀しげに揺らいだことに2人は気付かなかった。
──花見。……桜。
──だって桜は……。
「…………解ったよ。花見、行くか」
暫時の睨み合いが続いたが、遂に銀時が折れた。
渋々、といった雰囲気は丸出しだったものの、彼の言葉は神楽の歓喜を呼ぶのに十分だった。
「ヒャッホーイ!!やったアル!!」
満面の笑みを浮かべた神楽は、静かにご飯を食べていた定春に抱き付いてはしゃぎ始める。
新八は喜びをおお顕わにする神楽を微笑ましそうに見つめながらも、気になることを同じく神楽を見つめる銀時に尋ねる。
「でも銀さん、何であんなに花見するのを渋ったんですか?」
「ほら新八。さっさと朝飯食って弁当の準備しねぇと。ウチには食料はねぇからな、まずはババァの所に行って食料貰うぞ」
「え?……あ、はい……」
結局、銀時が答えることは無かった。