V.G

□heart legion1.5
1ページ/3ページ

何処かしら。

何処だろう。

あちらかしら。

こっちだろう。

そちらかしら。

むこうだろう。

「いい加減にして。わたしは花咲メグミを探しているの。」

誰?

誰だ?

誰かしら?

誰だろう。

「何。誰も何も、貴方達もクラスメイトでしょう?」

戯言?

月城さん、冗談やめなよ。

月城さんがしゃべるの珍しいね。

あー、確かに!

出席をとる………野村マツリ、花戸ハツメ、牧野ナノカ、

「先生、メグは……花咲、めぐみは……」

なんだ、月城。ゲームのやりすぎか?

「違う、違います。メグミは確かに………っ」

大丈夫か……

そういや、最近、近所でタイマ使って逮捕されたやついたよな。

やだ、もしかして月城さんも……?

ははっ、発狂でもしたら確実じゃね?

やめてあげなよー、マジでアバレッかもよ?

「すいません、寝不足で。次も学年首位は譲るつもりないので。」

そうか、じゃあ、さっそく。次の数学頑張れよー。

……………。

……………。

……………。


 先生が退出するとまた、ざわめきをとりもどす。それはごく、ごく普通のもうすぐであるテスト期間について。対策やら、ヤマ、の話。何処にでもありそうな代わり映えのない日常の1つ。だが、



それはこんなにも色褪せたものだったのだろうか。いや、もともとそうであるのだ。

教室を見渡すが、余った席は1つとしてない。


「月城。」

 井崎だ。

「すまない、森川もなんだけどさ、ここが分からないんだ。月城さん前回の授業ですんなり解答してたからさ、良かったら教えてくれないかな。」

「大丈夫。」

 優しげな目元を少しばかりさげお手数おかけします。と頭をさげる。

「ほら、森川も。」
「よ、ょろしくします。」

 美人好きなお前が珍しい。と井崎が言った。あのキャピタルの戸倉ミサキみたいに少しおっかないタイプじゃないか。と女子と話すと浮かれる森川が珍しくビビりながら頭をさげる。
……知ってる。メグがいないときはそうだったのだから。

「月城さんって確かに美人だけど……」
「ねぇ。」

「一匹狼ってやつ?」
「ははっ、日本じゃ絶滅したぞ、狼なんて。」
「保護してやんねーと?」
「「「「あはははははは。」」」」

 知ってる、知ってる、知ってる、知ってる、知ってる、知ってる、知っていた。

「月ってさぁ、遠目から見るとキレーじゃん。けど、実際はボコボコじゃん?」
「キャハハ、月城みたいな?」
「やめてあげなよー、





その通りじゃん?」
「あはは、そーいうナミハが一番ヒッドー。マジウケル。」

「月城さんって人形ってのが一番しっくりくるよね。」
「なるほど、表情がなかなか動かないからね。」
「見た目は完成されているっていうか。」
「やだ、ナニソ、レ、コワイ。」
「あ、月城さんきた。」

…………っ。自分の欠点は分かっている。けど、どうすればいいのかが分からなかった。人と話していても話題を続けられなかった。流行のアイドル、ファッション、アニメ、どれも関心のあるものではなく、そう続かない。なんとか覚えて話に参加しようとしても話題はまた次の流行へと変わる。最初はいろんな人と話そうとするも人はある程度の『仲間』を作ると新しい範囲を容易く開拓しようとはしない。そんな時期に入りかけ、気が滅入りかけていた時だった。

「ヴァンガード、やってるの?」

と声をかけられた。頷く。ファイトには自信があった。私には彼らがいて、彼らは私を助けてくれる。私に力を貸してくれる。だから、強いって自信があった。ただ、彼女に気が許せるようになってそれを打ち明ければ、彼女は言った。


「気持ち悪い。」

 人の口に戸は断てられぬ。た瞬く間にそれは広まった。敵ではないが、的になってしまった。まとまりたがる人の特性かいなか。当時の私のクラスは私を気持ち悪がることで一致団結した。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ