短い小説

□目を合わす話
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アブさんはいつもニコニコしていて余裕の笑みを浮かべている
ゲームしている時だってごはん一緒に食べた時だってTAKOSで出かけた時だって
そしてふと俺は思った
(俺、アブさんの目。真正面から見たことないな)
意識して横目で見てみればより一層美しい
そう思えばどんどん欲は深くなりその瞳を真正面から見つめてみたくなった
「アブさん」
「ん?どーしたの」
その日は家で二人でゲームをしていた
返事はしてくれるがやっぱり俺の顔は見ないで次やるゲームを探していた
「アブさんって目合わせませんよね」
ピタッと動きが止まった
「・・・やっぱそういうのって気づいちゃうもんなのかな」
「はははバレバレですよ」
ふたりして笑いあう
笑ってごまかすなんて小細工ききませんよ
「俺の目、見てみてくださいよ」
「えっ」
「いいからいいから」
「う、うん・・・」
そういうとゆっくりとこっちを見てくれた
やばい
超きれいな目
吸い込まれそう
「ねぇ・・・そんな見ないでほしいん…だけど・・・」
やんなまじまじ見ていただろうか
俺が言葉を発する前に目をそらされてしまった
「どうかしたんですか」
と言って近づくとこれは驚いた
いつもの余裕の笑みではなく赤面していて困ったようにうつむいていたのだ
こ、これはこれで・・・
「あ、アブさん・・・?」
「あ、い、いや・・・なんだかその・・・恥ずかしくて・・・」
可愛い・・・
いつもの大人びた感じも好きなんだけどこれがギャップ萌えってやつか!
「俺、昔からなんだか人と目を合わせるのが恥ずかしくて・・・それであんまり慣れてないんだ・・・」
「なら、俺で練習して直していけばいいですよ」
「うん。はすおがいいなら、そうさせてくれると嬉しいな」
へらぁと笑った
いつもの意地悪な笑顔でなく困ったように
あぁ、しばらくはこの人に意識されるんだなと思うと胸が高まる
まだまだその癖治らなくてもいいから俺のこと見ていてもらいたい

end

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