秘密の部屋

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「じゃあ俺、先に行くぞ?」

朝早く叩き起こされたリオーネは目を擦りながら頷いた。
アルフレッドはため息をついて煙突飛行粉を一掴み掴んで暖炉に入った。
”漏れ鍋”と唱え粉を投げると緑の炎が上がり、消える頃にはアルフレッドの姿も消えた。

「そんなに言わなくても、ちゃんと起きるわよ」

口を尖らせながら煙突飛行粉を掴むと、アルフレッドと同じように粉を投げた。
ジェットコースターに乗ったように(乗ったことはない)
胃の中が掻き回される思いをしていると、暖炉から吐き出された。
地面に叩きつけられることは無く、ふわりと腕を取られる。

「これ、嫌い」
「俺、比較的好きだけど?」

髪に付いた煤を払いながらニヤニヤと笑うアルフレッドの鼻を摘んでやった。
涙目で痛いと抗議する。いい気味だ。

「まずは?」
「そうね…」

カラン…
音を立てて店の戸が開く。
トムがいらっしゃいと声を掛けるのを聞きながら振り返ると、
よく見覚えのある赤毛の男性と栗色の髪の男女が三人で店に入ってきた。

「ウィーズリーの人かしら?」
「あんなに目立つ赤毛、それ以外知らない」

三人はそのままカウンターに座ってトムに酒を注文し始めた。
二人は目配せをすると裏口からそっと店を出た。
久しぶりに来たダイアゴン横丁は妙に混み合っている気がした。
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