秘密の部屋

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キングズ・クロス駅、九と四分の三番線ホームでは
去年の今頃と同様に別れを惜しむ親子の姿が彼方此方で見られる。
到着早々空いているコンパートメントに座ったアルフレッドは
その様子を窓に肘をついて眺めていた。
先程までウトウトと船を漕いでいたリオーネは
アルフレッドの膝に頭を乗せ丸くなっている。
汽車は汽笛を高らかに響かせそろそろ出発しようかという頃
赤い髪の集団がホームに駆け込んできた。
一人、二人と数えたが、赤髪の中に混ざっているであろう黒髪は
最後まで見つけられなかった。

「久しぶりね、アルフレッド!
ハリー達を見なかった?」
「久しぶり、ハーマイオニー。
残念ながらこの状態では探しにも行けない」

列車が走り始めて暫くすると栗色の髪を揺らし
ハーマイオニーがコンパートメントの戸を勢い良く開き現れた。
ハーマイオニーはアルフレッドというか、熟睡するリオーネを見ると
声を潜め、後ろに隠れていた少女を紹介した。

「ジネブラ・ウィーズリー。ジニーって呼んで」

燃えるような真っ赤な髪。
伏し目がちにチラチラと見上げる目は柔らかな鳶色だ。
余りジッと観察しては悪いだろうと、リオーネを揺すり起こした。

「夏休みの間にフレッドとジョージがあなた達の事をとても話してた。
ママはあなた達に余り関わるなって言うの」

向かいのハーマイオニーの隣に座ったジニーは少し憤慨したように言った。
リオーネはまだ眠いのだろう。
ジニーの声にびくりと肩を揺らした。
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