秘密の部屋

□05
1ページ/8ページ

「君たちを見てすぐに思い出す事ができなかった。
その事を私は猛烈に反省しているよ」

いつも通り、談話室が混雑してくる前に寮を抜け出した
アルフレッドとリオーネは癖のようになっているその行動を少しばかり憎んだ。
二人の道を塞ぐように現れたロックハートはローブを広げ仰々しくお辞儀して見せた。
その後、握手を求めてきたが、
アルフレッドがリオーネを自分の後ろに隠すと
行き場をなくした手をひらひらと振った。

「随分警戒されてしまってるようだ。
だが、安心していい!
私はそこらの何も知らない魔法使いなどとは違い、とても、優秀だ」

アルフレッドの眉がピクリと跳ねた。
ロックハートは続ける。
狼男、雪男、バンシーにバンパイヤ、トロール、グール…等々
ロックハートは次々と自身の偉業を語っていく。
しまいにはあの、醜く呪われた生物の名前まで持ち出してきた。

「私といれば、君達はあの吸魂鬼すらも恐るるに足らない存在になりうる」
「貴方は一度、本当に恐ろしい目に遭う事になる」

リオーネの冷ややかな目にロックハートは小さく悲鳴を上げた。
そろりと前に進みでると冷気を纏った手でロックハートの頬をサラリと撫で、
にっこりと笑った。
流石のロックハートでもこれには恐怖を感じたのだろう。
膝が震え、今にも崩れ落ちそうだ。

「我等が祖、レイブンクローに属しながらこのザマとは。」
「彼女の嘆きが貴方には聞こえない」

勢いよく振り返ったロックハートの顔が見る見ると青ざめていく。
ロックハートの後ろには長い髪を漂わせるゴーストがいる。
ふわりとゴーストが寄ってくるとロックハートはついに腰を抜かし
悲鳴をあげ、逃げ出した。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ