守りましょう

□04
1ページ/6ページ

さて、一体どうしたものか。

全く嬉しくないことだが、ダンブルドアから託された訳ありの少年。
リーマスとは想像以上に良好な関係だ。
ウィルが乗り気過ぎるからリーマスが断りきれていない節はあるが、
殆どの食事を共にするぐらいには仲良くなれたと思う。

問題はここからだ。

図書室に行こうかと一人で廊下を歩いていた。
足音が二つ…いや、三つだな。
立ち止まったり少し早く歩いたりするとそれに合わせて速度を変える。
三つという数からウィル達を想像したが、彼らならもっと気付かれない配慮をするだろう。
さて誰だろうか。

「ナイル、逃げているの?_」
「やあ、ヘレナ。
逃げてるわけじゃないよ。ちょっとした鬼ごっこをしてるんだ」

壁をすり抜けて現れた絶世の美女。
後ろをつける人影を恨めしげに睨む彼女に笑いかける。

「Ms.ヘレナ、後ろの人たちは何者なのか教えていただけますか?」
「グリフィンドールの一年生よ。
ナイルを付け回すなんて、蹴散らしてあげましょうかしら_」
「待って、私は大丈夫だから。
そんなに怖い顔しないでおくれ、怒った顔も美しいけど私は笑顔の方が好きだ。」

伸ばした手が頬の輪郭を撫でると掌にヒンヤリとした冷気が当たる。
ゴースト故に触れられないのが惜しい。

「ふふっ…ありがとう。
でも、そんなところまでルーイに似ないで頂戴ね_」
「ルーイ?父さんのこと?」
「ええ、彼も今の貴方のように女性に優しくてね。色んな人を虜にしていたのよ_」
「なんだか、想像がつかないな」

思い出す父の姿はいつも後姿だ。
どんなに話しかけても背を向け家に寄り付かない。
何処までも父親らしくない父だ。

「ルーイと仲良くしてね。彼は久しぶりに私の寮に来てくれた人なの_」
「うん、わかってる。」

私は貴方に見合うほど勤勉ではなかったようだ。
そう言ったら、彼女は、
グリフィンドールにやることがあるのだと言った。
それがまだ何かはわからないが…

「そろそろ彼らの相手をしてあげないといけないね」
「何かあったら言ってちょうだいね。貴方も私の大事な子供の 一人よ_」
「ありがとう。また遊びに来るよ」

子供の一人…ね。
こんな血、早く途絶えてしまえばいいのだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ