守りましょう

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「リーマス、ちょっといいかい」

誰もいない談話室のソファーで本を読んでいたリーマスは
ゆっくりと本から目を上げた。

「ナイル…戻ってたの?」
「今ね。それより、私の部屋に行こう。そろそろ人が増えてくる」

ナイルはリーマスの返事も聞かず、腕を引っ張った。
あまりに突然のことでリーマスは
手に持っていた本を落とさないようにするのが精一杯だった。

「すまない、座るところがないな。
ベッドで良いか。ちょっと座ってておくれ。
ああ、紅茶とココアどちらが良いかな」
「え、あ、ココア…?」

ナイルの部屋はリーマスの四人部屋に比べると幾らか狭いが
ベッドが二つしかないためかスッキリして見えた。
ナイルは戸棚からカップを二つ取り出すと、
ココアパウダーに温めたミルクを入れゆっくり解いていく。
片方のカップにだけチョコレートを一欠片入れた。

「チョコレートは好きかな?」

チョコレートの入った方のカップを、
リーマスに渡すとナイルもベッドに腰を下ろした。
手の中でじんわりと主張するカップをぼーっと眺める。

「リーマス…最近顔色が悪い。
広間であまり見かけなくなったとスコットがぼやいていたけど、
何も食べていないんだろう?」
「そんなことないよ…
ナイルたちは三年だから一年の僕とじゃ時間が合わないだけだよ」

誤魔化すようにココアに口をつける。
ミルクとチョコレートの香りに混ざってほんのりバターの味がした。
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