秘密の部屋
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廊下での立ち話は冷えるからと言って、手短な空き部屋に入る。
暖炉はないが吹き曝しの廊下よりいくらか暖かい。
残念ながらクッションを出す魔法を使えない為冷たい床に座った。
「さて、男子には聞かれない内緒話をしましょうか」
防音の呪文を唱え、外から聞こえないように施すと、
ジニーは嬉しそうに両手に抱えた本を見せた。
「コレ、いつの間にか私の荷物に混ざってたの」
「少し見せてちょうだいね」
ジニーから受け取ったのは黒い革の表紙の日記。
ボロボロになっている表紙の文字は読み取れないが、
一枚開くと持ち主の名前が読み取れた。
_T・M・リドル_
「リドル?」
「トムよ。私の相談相手なの」
「でも、コレ。何も書かれてないわ」
日記は捲れど捲れど白紙のページばかり。たまにインクのシミが見られるが
何かを書いた形跡はどこにもない。
「私がトムに手紙を書くの。そうしたらトムも返事をくれるわ」
ちょっとよくわからない。
日記の状態から考えても最近の物とは思えない。
その持ち主に手紙を書いて返事がもらえるものか?
「えっと…それで、私に何の相談かしら?」
「最近パーシーに顔色が悪いってよく言われるの。
トムと話を初めてからなの。パーシー達には相談しずらくて…」