彼岸の鬼

□木舌と晩酌
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なんてこった。私の考えを汲み取っていたらしい。どんぴしゃで言い当てられ何も言えない私が面白かったのか、木舌は笑い出した。

「頭堂っ、面白いっ」
『っ、巫山戯んな莫迦!見直しかけた私が馬鹿だったわ!』
「え、何?見直してくれたの?嬉しいなぁ!」
『かけたって言ってんの!』
「ほーらおいで頭堂!お兄ちゃんが抱き締めてあげるよ!」
『話聞けよ酔っぱらい!ちょっ、ひゃっ!』

罵倒を浴びせている内に腕をぐいっと引かれて、当然の如く木舌の腕の中に飛び込んだ。

「よしよし、頑張ったね頭堂」

抱き締めたまま、ゆったりとしたリズムで頭を撫でる。これでつい大人しくしてしまうのだから悔しい。

『子供扱い…』
「俺からみたら可愛い妹だよ。
頭堂達を子供扱い出来るのは俺と肋角さんの特権だしね。
それに、小さい頃の頭堂はこうされるのが好きだったよ?」
『.......今も結構好きだよ』
「そっか。良かった」

もっとして、そう言うとコイツは調子に乗るだろうから敢えて言わない。その代わり、背中に腕を回してやった。小さい頃はこうやって催促したのを思い出したから。上から「あはは」と声が聞こえた。
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