彼岸の鬼
□阿吽と現世
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目を閉じてすぐにバタァン!と凄まじい音が響いた。
「頭堂!遊びに行こうぜ!」
この声はもしかしなくても平腹であろう。しかし巫山戯た奴だ。こんな真夜中に遊ぶ事なんて無いだろう、いや無い
「頭堂〜!起きろー!」
ゆっさゆっさと体を揺さぶる平腹に文句を言ってやろうと思い、鉛のような瞼を開けると目の前に黄色が飛び込んできた。
「やっと起きた!」
平腹め。目の前に顔を持ってきたら驚くだろう。
.......ちょっと待て。なんでこんなに部屋が明るいんだ。目を閉じて間も無い筈だぞ
『..............』
「頭堂?おーい、頭堂ーむぐ」
叫ぶ平腹の口を手で塞ぎ、もう片方でもぞもぞと置時計を探す。やっと見つけて針を見て愕然とした。
今はもうお昼前。つまり、10時間程寝ていた事になる。目を閉じてから開けるまで約3秒程だと思っていたのに。
どうやら夢さえも見ずに熟睡していたらしい。
「頭堂?」
平腹の声にはっとする。そうだ、今は平腹がいたんだった。
『..............遅よう…』
「おそよう!」
ああ、なんていい笑顔なんだ。ニカッ!と笑う平腹に脱力する。
「遅ぇ」
『なんだ、田噛もいたんだ…』
少し離れた所で田噛は本を読んでいた。彼も無理矢理起こされて連れてこられたのだろうか?
「頭堂今日非番なんだろ?現世に行こうぜ!」
『…は、え?』
「俺達も非番でさ!久しぶりに3人で遊ぼうって事になった!」
『何で現世なの…』
「いいじゃん!面白いだろ!」
『田噛は?行くの?』
究極にだるい体を起こしたくなくて最後の希望にと田噛に話を振る。
「ああ」
さようなら、私のダラダラ非番。