彼岸の鬼

□木舌と晩酌
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そう割り切ってしまうと酒の力もあるのだろうが、愚痴なんてとめどなくこぼれてしまう。今回の亡者について、考えがどうだの嫉妬がどうだのと次々に飛び出してくる。

『何でって言われても分かる訳ないでしょ。人間じゃないし』
「俺達は色々と鈍く出来てるからね〜。人間との差は大きくあるね」
『ほんと人間はわっかんない!』

木舌はだんだんと荒くなる私の話を取りこぼす事なく拾って返事をくれる。
有難い気持ちと申し訳ない気持ちが入り組んで複雑になっていく自分に腹が立つ。
だってそれは相手を全く頼っていない証拠。そんなの相手にも失礼だ。頼りすぎなのもいけないが、全く頼らないのも駄目。分かっているのに出来ない自分が嫌なんだ

「頭堂、あのね」
『うん?』
「1人の時間も大切なんだよ。だけど、1人でいるよりは誰かといたほうが楽しい事は多いだろ?」
『…うん』
「そう考えてみなよ。そうすれば少し楽になるかもしれないよ」
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