彼岸の鬼

□木舌と仕事
2ページ/7ページ

『まずは1階からだね』
「だねー」

コツコツと2人分の足音が響く。やけに静かだ。ぬっとりと纏わり付くような空気が満ちている。注意深く周りを見ながら奥へ進む。よくよく見ると拳程度の小さな塊がそこら辺に転がっている。なんだこれ…

「頭堂?」
『うん?』
「大丈夫?」
『え、何が?』
「ずっと黙ってたから体調が悪いのかと思って」
『あ、ああ。ごめん、考え事してた』
「そっか。何か気になる物でもあった?」
『あー…うん。あれ何だと思う?』
「どれ?」

私は『ん』と塊を指さす。だが木舌は首を捻るだけ

「何かあるの?」
『え.....』

おかしい。そりゃ小さいけど、幾ら何でも見えないなんて程じゃない。私が若干困惑しているのを見た木舌は少し目が鋭くなる

「頭堂、とにかく俺から離れないで。何かあったらすぐに言って」
『うん、分かった』

そう言って木舌は私の手を握った
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ