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□I can't ever see you again .
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念仏は右から左で、啜り泣く声すら私には届かない。
あの笑顔はもう戻ってこなくて。
あの声を聞くことも二度となくて。
「目を覚まして、典明。」
何度も何度も揺さぶれば、典明が起きるような気がして。
「どうしましたか?」って、
そう笑ってくれる気がして。
私は何度も彼の名前を呼んだ。
よせ、と承太郎が止めてくれなかったらどうなっていただろうか。
最後のお別れなのに、涙で滲んで典明の顔をまっすぐ見ることも出来なくなっていた。
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