SS書庫

□ショートケーキ
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聞いたこともない低い声に、無意識のうちに肩がビクッと揺れる。
睨まれるように見られると、いやがおうにも、空気がさらに凍てつくのが分かる。

まずい、と思ったのもつかの間、ジョセフは何も言わず家から飛び出ていった。
制止する間もなく、玄関のドアが強く閉まる音が反響する。

ジョセフの居なくなった部屋に、私はただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。


「…嘘。」


いつも温厚なジョセフを、私は自分のわがままで怒らせてしまった。

震える足をどうにかしようと、自分に大丈夫だと言い聞かせるように椅子についた。
心臓が、バクバクと音を鳴らす。


ジョセフの顔が、あのジョセフの怒っている顔が、頭の中にこびりついて離れなかった。





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