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□ショートケーキ
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そして、一体あれからどれぐらいが経っただろう。
ふと時計を見ると、30分は経過している。

目の前にはジョセフの置いていった携帯電話。
これじゃあ連絡すらとれない。



言い過ぎた。
完全に私が悪い。
誰にだって間違えることもあるし、ケーキぐらいまた買えばいいよ。って許すことがなぜ出来なかったんだろう。
ジョセフにだって悪気があった訳じゃないのに、どうしてあんな冷たい言い方しか出来なかったんだろう。


「ジョセフ…。」

溢れ出る大粒の涙を堪えられず、私は子供のようにボロボロと泣いた。

「ごめん……ジョセフ…っ…うぅ。」

届くはずのないうわ言を零しながら、自責の念に駆られる。
なんてことをしたんだろう、と自分を責め立てた。


嫌われたって当然だ。
私は自分のわがままでジョセフを、あのジョセフを怒らせてしまった。
自業自得とはまさにこのことだ。
誰を恨もうが、誰を責めようが全て自分で招いた結果だ。


「大嫌いなんて……嘘だから…っ!ジョセフ。お願い帰ってきて…っ!」





「お、おう。ありがてぇけどよォ、大丈夫か?紅葉?」




ハッとして振り返るとそこにいたのは

「え、あ!ジョ、ジョセフ!?…えっ!」



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