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□ショートケーキ
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思わず立ち上がり、振り返って目をパチクリ。
泣いていることを悟られないようにするも、完全にバレバレだったようで。
「ったく…。俺が紅葉を捨てるわけねェだろ?」
泣かないの、と私の頭を撫でるジョセフの暖かさがとても愛おしかった。
その勢いでジョセフに真正面から抱きつくと、一瞬彼は驚いたが、すぐに抱きしめ返してくれる。
「紅葉、その…紅葉が楽しみにしてた限定ケーキってやつ?
あれはまた今度でいいか?」
さすがに売り切れてたんだぜ、と私の肩に頭を預け、ジョセフは罰が悪そうにする。
ジョセフからそっと離れ、ニコッと笑うその手には見たことのあるロゴマークが印刷された小箱。
「これを…買いに行ってたの!?」
「どーも見かけによらず人気だなァ!思ってたよりも時間食っちまったぜ。」
その日のおやつは愛しい彼からのショートケーキでした。
ショートケーキ
限定ケーキってなんでしょな。
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