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□素直にならないお年頃
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「はっきり言って露伴君は子供だよね。」


寝転がりながら、ニヤニヤと笑いながら言う紅葉に、そんなことはないと露伴は一喝した。
そんなところが子供っぽいんだよね、と紅葉は思うが、そう言ったところで、また大人気ない返事しか返ってこない、と言葉を飲み込んだ。



……………………………
…………


事は数ヶ月前に遡る。

素直じゃない露伴を説得し、紅葉に告白させるのは骨が折れた。
と、康一はよく愚痴を零すが、紅葉はつくづく彼の苦労が分かる気がしていた。
好きになった人の記憶を、ヘブンズ・ドアーで覗くだけならまだ許す。
しかし、
「岸辺露伴を好きになった。」
という記憶があったのを確認してから、告白してくるとはどういう神経の持ち主なんだ。
後から露伴からそう聞いたとき、紅葉は項垂れたのを思いだした。

紅葉も露伴のことを気にならなかったわけではない。
(黙っていれば)めちゃくちゃ恰好いいし、(黙っていれば)素晴らしい漫画家だと思う。
ただ、性格はまるで子供で大人気なくて、我侭で自分が一番な俺様な人で。
作品の為と、紅葉や康一はどれだけの苦労を被っただろう。





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