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□素直にならないお年頃
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「紅葉。」

紅葉の姿を見下すように立つ露伴が、呟くようにそう呼んだ。
勝手にベッドに寝転がるな、って怒りたいの?と紅葉は、目線を漫画に向けたまま返事をした。
もちろん、読んでいるのは『ピンクダークの少年』。


「それもあるがな。少し尋ねたいんだ。」
「ほぅ、露伴君が私に、教えてくれ!と頭を下げるの?」

単行本を閉じ、加虐心丸出しの笑みを見せる紅葉に、露伴は思わず足が出そうになる。
ふふ、と笑う紅葉に、不覚にもぐらついてしまう当たり、端的に言えば、露伴も露伴で紅葉にゾッコンなのである。


「君は、どうして僕を好きになった?」


僕は少し変わっているからね、と紅葉に背中を向けるように、ベッドに腰掛けた。
いや、少しどころか随分と変わっているのけどね、と紅葉はその背中に指を沿わせた。
が、反応なし。
その後ろ姿がいつもと違って頼りなくて、紅葉は露伴の隣にちゃんと座り直した。
心配になり紅葉が顔を覗き込むように見ると、何だ。と睨むように露伴は紅葉を見た。

「露伴君?なんかあったの?」
「質問に質問を返すんじゃあない。」

感情が篭ってない返事をされ、全く素直じゃないやつだと改めて感心する。

「好きになったから好きになった。」

それ以外ないでしょ。と、紅葉は露伴の肩に頭を預ける。





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