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□素直にならないお年頃
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漫画を書く姿も、自信過剰で俺様な所も、時々見せる我侭露伴も案外好きなのよ?

「こんな風に露伴のこと愛してるの私ぐらいじゃない。」

紅葉にちょっと上目遣いで見られ、露伴は恥ずかしくてそちらを見ないようにする。
不必要な杞憂だったな、と露伴は思いながら、紅葉を引き剥がすように肩をあげる。


「露伴君はなんで私を好きになったの?」

隣に座る紅葉は、いつもは見れない程にしおらしく、何故かか弱さを露伴に感じさせた。


「紅葉が僕を好いてくれていたからね。そのまま放っておくのは余りにも無慈悲だと思ったからだね。」

「うーわ、素直じゃない奴。
私だって露伴君が1人ぼっちで可哀想だから、仕方なく!仕方なくよ!?選んであげたんだからね。」

「素直になれないお年頃かァ?僕は独りぼっちじゃないし、さっきの愛してるは何だというのだ!」

「だーかーらー!露伴君への無償の愛よ!私の心は海よりも広いのよ?」

「そうならば!海は僕が思う以上に相当な狭さなんだろうな!」

「そう言う事言うから大人気ないって言われるのよっ!」



息をする間も忘れて、露伴と紅葉は言いたい放題だった。
実を言うと、露伴だけでなく、紅葉も素直じゃない性格である。
(このことが、余計に康一に苦労を掛けたのだが。)

肩で息をして、お互い顔を見合わせる。
二人はベッドに腰掛けたまま目を合わせて笑った。

「露伴君、本当に素直じゃないね。」

そっくりそのまま返してやる、と露伴は紅葉の頭を雑に撫でた。
すると嬉しそうに笑う紅葉。
露伴はまた不覚にもぐらついた。




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