SS書庫

□素直にならないお年頃
5ページ/5ページ


「少し色々あって、紅葉の笑顔が見たくなったから。」

蚊の鳴くような露伴の意外な言葉が聞こえ、思わず紅葉は、その目を見開いた。
なんて言ったの?と聞こえていたのにも関わらず問い返すと、案の定、露伴は、二度と言わん。と突っぱねた。

「ごめんね、ちゃんと聞こえてたよ。」


私も露伴君の笑顔が元気の源だよ、と顔を近づける。
近い、と距離を取る前に重なる唇。

「やけに今日は素直だな。」
「露伴君が素直じゃないだけでしょ。
たまには素直になったっていいのよ?」


と、目を閉じてキスをせがむ紅葉に、少しばかり素直すぎると露伴は頭を抱えた。
紅葉の両肩を持って、耳元で囁いた。


「…紅葉、愛してる。」


予想外の露伴の行動に、紅葉の顔が一瞬で真っ赤に染まる。
明らかに動揺している彼女の姿に、露伴はニヤリと笑うと、今腰掛けている場所がベッドなのをいい事に、


「露伴君!?待って待って待って!!」

紅葉の視界が反転する。
簡潔に言えば、押し倒されている状態だ。
露伴君!露伴君!と、その喚く口を閉ざすために、ほぼ強引に露伴は紅葉の唇を自身の唇を重ねる。


「露伴君素直すぎない…?」
「素直になれっていったのは紅葉だ。」

あーもう、今の露伴君には、何を言ってもだめだ。と紅葉は諦めたように笑った。

「露伴君は子供だ。という言葉はちゃあんと訂正してもらうぞ?」

そんな我侭で俺様で自己中心的な露伴に、今日も紅葉は振り回されるのでした。


素直にならないお年頃





前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ