SS書庫
□数秒
2ページ/4ページ
半年程前から、僕と紅葉はそういう付き合いをしている。
なのに未だに何故かお互い敬語が抜けないし、キスは疎か、手を繋いだのも数えるぐらいしかない。周りと比べるわけじゃあないが、スローペースな恋愛だとは思っている。
正直いうと、僕だって至って普通の男子高校生なわけだし、下心がないか?と言われるとそうではない。
それは僕に勇気がないせいなのか、紅葉を大切に思いすぎているせいか。
今日1日は何も考えられず、僕の頭の中には紅葉の事ばかりだった。そのせいか、紅葉のために適当に買い物を済ませ、その足は紅葉の家に向かう。
突然押しかけるのはさぞかし迷惑だ、とは分かっている。しかし、それでも足を止めないのは、僕の予想が正しければ、きっと彼女は安静になんてしていないはずだ。と思っていたからである。
.