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□相身互い身
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「空条承太郎。」
授業中にどこに行くつもりだ、と席から立ち上がるろうとする彼を引き止める。
幸いにも、なのか不幸にも、なのか、隣接する席の私達の会話は、耳の遠い白髪の先生には聞こえていない御様子。
「来るか?」
「授業中なので。」
はっ、と溜息が聞こえ、椅子に座り直す空条の姿を目の端に捉えた。
その一連の流れに、ヒソヒソと声を潜める女子の姿は、私には見えていないことにした。
そこから何十分が経ったのか、
終わりを告げるチャイムがなる。
「紅葉。」とほぼ同時に名前を呼ばれ、瞬間移動の如く、そそくさと去る空条を私は追った。
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