SS書庫
□相身互い身
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「どこに行くつもり?」
返事が返ってくるわけもなく、彼が歩くだけで自然と人が避けていく姿は、滑稽且つ申し訳ない気持ちにさせてくれる。
慣れたつもりでも、歩幅の大きい彼に歩みを合わせるのは大変で、少しずつ息が上がってくる。
やっと追いついたと思ったらそこは空き教室。
ドアを開ける時に、普段聞きなれない音がした。
スタープラチナなら鍵ぐらい開けることができそうだ、と思ってしまったので気のせいだ、という考えに改めた。
「こんなところで授業フケる気?」
窓も開いていない少しホコリっぽい教室は、角にあるせいか、日の光も僅かしか入ることはない。
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