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□月と空
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白い狼

「確かこのあたりの筈だ。」
白い狼の噂のある森。黒い群の中で一際目立つ存在、狙っているハンターは多い。だが別の噂もある。
「おい、足跡だ。」
雨上がりでぬかるんだ地面にくっきりと付いた足跡。そしてその中に…
「おい、あそこだ!」
見上げると、こちらを見下ろすように、小高い丘の上に狼の群。黒いその中に一つだけ白い存在。
「見つけた…」
噂は真実だった。

「ネテロ会長、見つけたそうです。」
暫く前から調査させていた《白い狼》の噂。それが本当ならなんと痛ましい。
8年前にある地方で大災害があった。そこでは災いがあると山の神に生贄を捧げる習慣があり、そしてその年、実行された。《白い狼》はその数年後に知られ始め、噂も流れ始めた。ワシは現地に赴いた。この目で真実を確認するために。
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