菖蒲の物語〜刀剣乱舞〜
□不意討ち
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キーン コーン カーン コーン
誰が考えたのか分からない在り来たりなチャイムの音を目覚まし時計代わりに、加州清光は起きた。因みに先程のチャイムは、休み時間終了では無く、授業時間終了のチャイムだ。清光は、4限目の授業を丸々サボタージュし、屋上の日陰にて寝ていたのだ。
(よく寝たなぁ〜。あぁ、もう昼休みか。あいつ今日も来てくr…)
「何してんだよ。授業サボって。」
噂をすれば影が立つ…先人達は偉大な諺を残したものだ。そこには、清光の待ち人――幼馴染みの大和守安定が立っていた。
「いや〜、寝てただけだよ。」
少しおどけた口調と態度で言うと、安定はムッとしたようで口先を尖らせていた。
「ちゃんと授業でないと、一緒に進級出来ないだろ」
「えー、だって怠いジャン」
清光の成績は正直に言うと普通、中の中だ。一方、安定の成績は優秀で20位から落ちた事がないくらいだ。
「勉強、また教えてよ」
安定が昼食として買ってきたサンドイッチにかぶりつきながら、清光が言い出した。
「はいはい、じゃあ僕の家で良い?」
「あ〜、和泉守居るの?」
「今日は…堀川と出かけるって言ってたよ」
言ってる間に安定は、2つ目のサンドイッチに手を伸ばす。
和泉守は安定の親戚で実家が高校から遠いので、安定の家に居候している。和泉守には、清光が安定のことを幼馴染みや友人として見ていない事がバレている。なので、会うたび会うたびからかわれているので、顔を合わせたく無いのだ。
「和泉守居ないんだったら行く」
「じゃ、今日日直だから校門で待ってて」
「分かった。…ちょっと安定、幾つ食べんの?」
安定は、既に2つ目を胃に収め3つ目を食べ始めている。
「んー、4つ」
「いやいや、コレ一袋で2つ入ってるから!!太るよ、絶対!!」
「僕あんまり太らないんだよねー」
「ナニソレ!?羨ましい。」
清光は、太らないように食事制限までしているのに…。
「好きな奴が食事制限中にガツガツ食べたらイヤだな」
「清光…好きな人居るの?」
小声で呟いたはずの独り言は、しっかりと安定に聞かれていた。安定は、問いかけた後、サンドイッチを袋に直し始めた。
「ちょっ…何してんの」
「清光…食事制限してるんでしょ
だったら、僕も我慢する」
ソレは、期待していいんだろうか…?
清光が想いきって告白するまで後15秒
清光が安定に押し倒さられてキスされるまで後30秒