菖蒲の物語〜刀剣乱舞〜
□女装パニック!
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「なんで…」
「んー?」
「なんでこんな格好しなきゃなんないんだよ!!」
加州清光と大和守安定は現在女物の服を着ている。つまりは女装していた。事の発端は、今から四半時程遡る事になる。
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「何してるんだよ。清光」
安定が遠征から帰り自室に戻ると同室の清光が女装していた。正確には乱藤四郎と次郎太刀もいて、メイクをしていた。
「乱と次郎にお化粧してもらってるんだ。俺、女の子の格好したことないし」
「それが普通だろ」
安定が呆れたようにため息をついた。すると今までやり取りを見ていた乱と次郎が口をはさんだ。
「えぇー似合うんだから良いんだよ。て言うか、僕、安定くんも着飾りたいんだけど」
「…!?はぁ!?」
「あぁ、確かにねぇ。加州も大和守も可愛い顔してるからねぇ」
「じゃあさ、安定も着飾っちゃう?」
「ちょっ、ちょっと…悪い冗談は止めてよ」
「冗談じゃないってば」
「大丈夫だよ、安定くん怖くないよ。さぁ、こ っ ち に お い で」
「いやっ凄く恐いからっ」
「捕まえたわよぉ」
「ぎゃぁぁぁぁあぁぁぁぁ」
哀れ安定。ちなみに安定の断末魔のような悲鳴は審神者部屋に居た審神者と近侍の江雪左文字にまで聞こえたそうな。
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「やっぱり二人共似合ってる!!可愛いよ!!」
「元が良いからねぇ。Gj私!」
「…もう着替える」
「だぁめぇ、今日1日その格好でいて」
「なんでだよ」
「良いじゃん、可愛いんだから!!」
安定は必死に抵抗をしたが、誰も聞く耳を持たず抵抗は無駄に終わった。
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「本当に女みてぇだな」
「か、兼さん駄目だよ。言ったら」
「聞こえてるよ国広。…はぁ、ホント恥ずかしい」
「えぇー、良いじゃん似合ってるって安定」
清光と安定は現在和泉守兼定・堀川国広の部屋に居る。(部屋割りは同じ刀派や元の主が同じ等関わりがあった者同士で同室になっている。)
「なんでわざわざ兼定のとこに来たんだよ」
「オイ、コラ…どういう意味だ、そりゃ」
「自業自得だよ、兼さん」
「兼定に絡まれるの、面倒じゃん」
「あぁー、確かにね」
「よぉし、お前ら…表でやがれぇ!!」
「えぇー、兼定こんな美少女2人相手に喧嘩すんの?」
「僕を巻き込むなよ。だいたい、僕たちは男だよ」
青筋を立てる兼定を無視して清光と安定は口論を始めてしまった。兼定が口を挟もうとするが、全力で無視だ。Out of 眼中だ。
「それだから安定は可愛くないんだよ。俺みたいに可愛くしとかなきゃ、主に愛して貰えないよ」
「可愛いとか可愛くないとかどうでも良いだろ。て言うかいい加減僕の服返してよ。」
「はぁ?乱と次郎に1日そのままって言われたじゃん」
「僕は了承してない…」
なんだか不穏な気配だ。流石の兼定と国広も口を挟めずに傍観者に徹した。その間にも言い合いはさらに酷くなっていく。そして、最終的に…
「首落ちて死ね!!」
「オーラオラオラァ!」
「ちょ、お前ら!!人の部屋で本体使って喧嘩してんじゃねぇ!!」
「私闘は禁止だよ!!」
兼定と国広が止めようとするが、頭に血が上った2振りは残念ながら聞いていなかった。
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話は変わるがこの本丸の審神者は幼少期から【徒手空拳】と言う武芸を嗜んでいた。審神者にならなければ道場を継ぐ程の実力者であり、つまりはべらぼうに強い。現在進行形で。また、趣味はダーツである。なぜ今こんなどうでも良さげな事を長々と記述したかと言うと…
「主!!」
「どうした!?兼定!?」
「俺と国広の部屋でドーベルマンとボクサー犬が喧嘩してやがる!!」
「どういう展開だったんだよ!」
審神者が書類仕事を終わらせると兼定が飛び込んできて、そのまま自分の部屋に連れて言ってしまった。1人残された江雪左文字は、
「和睦の道はないのでしょうか」
安定だった。
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一方、審神者はいまだに喧嘩(と言うか死闘?)している清光と安定を見て一瞬硬直した。が、一瞬だった。常備しているペンを2本取りだしダーツの要領で2人に当て、関節技を極めて
「清光と安定はこの部屋を片付けなさい。後…1週間畑当番」
と言うと戻った。(ちなみに【斬ってかわしてジャンケンポン】してたと言い訳をして拳が落ちてきた)
その後片付けを終えて審神者に経緯を話した。その翌日
【本人の意志に反し女装等をさせ私闘した場合、関わった者全員を厳重に処す】
という張り紙がされており、新撰組の4人以外は不思議そうな顔をしていた。