菖蒲の物語〜刀剣乱舞〜
□長谷部がミニスカサンタになる話
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「貴様ら…いい加減にしろ!!」
長谷部は目の前にいる男たち―――燭台切と大倶利伽羅を怒鳴りつけた。燭台切はニヤニヤしながらデジカメを構え、大倶利伽羅は長谷部の服の裾を興味津々といった体で引っ張っている。長谷部の現在の格好はミニスカサンタだった。長谷部のような堅物が女装しているのは、もちろん自発的などではない。原因は現在夜戦で元気いっぱいに暴れているであろう短刀―――乱籐四郎だった。
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遡ること四半時ほど前。
「長谷部さん、長谷部さん。これ来てみてよ!!」
小夜と博多と居た長谷部は突然なんだと思いつつ振り向くと乱が赤いワンピース(かなり装飾品が多くフリルやらレースやらリボンがそこかしこにつけられている)を手に話かけてきた。
「断る」
「え〜、良いじゃん。可愛いでしょ〜」
「可愛いのは良いが俺は着らん」
とどちらも引かずに言い合いをしていると、傍観していた小夜が
「それ着てる長谷部…見てみたいかも」
と言い出した。長谷部は厳しい反面面倒見が良く短刀たちは懐いている。小夜や博多のように昔の主が関係している刀剣は特にだ。その付き合いの長い刀剣に言われて流石の長谷部も言葉につまる。
「だよねだよね。見てみたいよね」
「…うん」
「おぉ〜長谷部ん女装か、見てみとおばい」
「と、いうことで」
「お、おい。何をする!?」
「大丈夫だよ、長谷部さん
こ わ く な い よ」
「や、やめろぉぉぉおおおぉぉぉ!!」
結果、長谷部は自分に勝る機動をもつ短刀にあっという間に女装させられてしまった。そして三振が出陣したら、さっさっと着替えようと思っていたが、
「長谷部さん、今日1日そのままね!」
と押しきられ着替えられなくなってしまった。
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そして冒頭に戻る
「へぇ〜、そうだったんだ。僕はてっきり誘ってるのかとおm…」
「アンタは黙れ光忠」
「全くだ」
「ちょっ…長谷部くんまで酷い、ていうか、くりちゃん顔殴るのは止めて」
大倶利伽羅に台詞を遮られた上に顔面を殴られた燭台切は不服そうだ。
「で、乱くんが帰ってくるまでどうするの?」
「…自室に戻りたいが、この格好を誰かに見られたくない」
「そうだろうな」
「あっ、じゃあこうするのは?」
燭台切は言うなり自分の上着を脱ぐと長谷部に着せた。身長差が少なからずあるので短いスカートは隠れている。
「ホラ、これで隠せたよ」
「…だぼだぼで動きづらい」
「…光忠、アンタこれがやりたかっただけだろ」
これ、とは彼シャツ(シャツでは無いが)であることは想像するに容易いことだった。
「あぁ、もう長谷部くん凄く可愛い。たべちゃいたい(意味深)」
「何が可愛いだ、俺は男だぞ」
「長谷部くんだから可愛いんだよ」
「意味がわからん」
そう言いながら部屋に戻ろうとする長谷部は扉を開けた。
「…何故ついてくる?」
「上着返して貰わないといけないからね」
「光忠と二人になるより良いだろう?」
と言うわけで燭台切と大倶利伽羅がついてきいてる。燭台切の部屋から長谷部の部屋までは少々距離がある。(審神者が長谷部の貞操を守るため、と短刀に押しきられた結果だ)距離があるということは、誰かと会う確率も必然的に高く成り上がりる。廊下の角を曲がると一期が書類片手に歩いてきた。
「長谷部殿、その格好はいったい?」
「…乱にな」
「それは、その…すみません」
長谷部が一期と話していると燭台切と大倶利伽羅は手持ちぶさたにしている。
「長谷部くん、部屋に戻らないの?」
耐えきれずに燭台切がきりだすと、一期がものすごい顔で睨んできた。
「ん、あぁ戻る。またな一期」
すれ違う際、燭台切と大倶利伽羅は勝ち誇った表情で、一期は忌々しげな表情だった。
最終的に乱が帰ってくるまで燭台切と大倶利伽羅のオモチャにされた長谷部でした。