菖蒲の勾配
□獄卒がブラック本丸の審神者に!?
1ページ/2ページ
「身夜、2205年で『ブラック本丸を立て直せ』と命がきた」
それが、肋角さんから言い渡された任務だった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――『ブラック本丸』歴史修正主義者と戦う為に審神者なる者と刀剣男士が住まう場所を本丸という。しかし、刀剣男士達に精神的・肉体的な苦痛を負わせる。怪我をしても手入れをしない。等々を行う本丸を現世のブラック企業からとり、ブラック本丸…というらしい。
「其処の刀剣男士達は、審神者を殺めていてな…『人間では立て直し不可能』とされた。」
成る程…確かに殺されたらもう無理だろう。人間ってめんどくさいな。
「出陣、遠征、演練、刀解、鍛刀は禁止だ。質問は」
「はい…、期間はどれ程でしょうか」
「特に決めていない…と」
「はぁッッ」
何ソレ意味わかんねぇ。
「何年かかっても良いから何とかしろ、だそうだ。刀剣男士達がお前に懐けばお前を正式に審神者にする…とのことだ」
ナニソレ。人間考える事突飛すぎるだろ。超恐い。
「大丈夫か?身夜」
「あの…もし審神者になったら、獄卒としての仕事はどうなりますか?」
「掛け持ちらしい」
良かった。獄卒を止めるなんて…家族と離れるなんて事にならなくて。
「身夜」
「ハイッ」
「2205年代へ行き、刀剣男士達の暴走を止めろ」
「了解しました。明日出発します。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――
「…身夜」
「兄貴、身世」
「ブラック本丸に行くって?」
もう伝わっていたらしい。あれから、2時間程経過している。伝わっていても可笑しくない。
「…うん」
やっぱり、面と向かっては、言いにくい。生前からずっと一緒にいる兄妹達には特に。
「そっか…頑張れよ」
「頑張って…」
身世が抱き締めてくれる。兄ちゃんが頭を撫でてくれる。普段は憎まれ口ばっかりだけど、やっぱり家族が好きだ。その後は、3人で一緒に寝た。早く帰れるように頑張んねぇと。