菖蒲の物語〜獄都事変〜
□Say Merry Christmas in a corner of the gokuto
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最近田噛は斬島とばっかりいる。仕事の時は一緒にいるけどそれ以外はなんか避けられてる。俺と一緒にいるのイヤなのか?って聞いたら
「…別に」
としか返されなかった。しかもその後斬島が
「田噛、例の事だが」
つったら、そのまま俺を残してどっか行っちまったし。あぁーもぉー田噛居ねーとつまんねー!!佐疫も斬島から避けられてるらしい。そろそろヤバイことになってる。
「斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島斬島」
…ナニこいつ、スゲー恐いんだけど。生者が亡者を恐がんのってこんな感じなのかな?っていうか、言い忘れてたけど俺と田噛は付き合ってるからな!佐疫と斬島も付き合ってるらしい。まぁ斬島が下(佐疫から聞いた。聞いてないのに)だから多少なら一緒に居ても良いと思うけど、俺とも一緒に居てほしい。つーかコレ一緒に居るのが斬島じゃなくて、谷裂とか木舌だったら、俺あいつらのこと殺してるんだろーな。佐疫は…斬島至上主義だからな。油断はしないけど。今日はこれから(ぶっ壊れかけてる)佐疫と任務かぁ。田噛と行きてーな。
「平腹…」
「うぉっ!?ビビった。んだよ?佐疫」
「斬島と田噛、次の任務一緒なんだって。あぁもぉなんで避けられてるんだろう!?俺なんか悪いことしたかな!?」
「はぁ!?じゃちょっと斬島と任務代わって貰ってくる!!」
佐疫の台詞(前半)にすぐさま反応して斬島を探そうとしたら、すぐそこに居た木舌が
「斬島と田噛ならもう行っちゃったよ」
爆弾投下してくれた。もう佐疫の顔が(・_・)なんだけど。こえーよコイツ。取り敢えず怒られないうちに任務行こ。
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「そう言えばさぁ、平腹っていつ頃から田噛が好きなの?」
亡者を簀巻きにして椅子代わりに座ると亡者が「ぐぅぅ」と唸った。五月蝿い。任務は討伐じゃなくて捕獲だったから一応喋れるくらいにはしてるけど、すれすれで討伐にならないくらいに銃弾を喰らわせておいた。椅子代わりにしても抵抗しないのはそのせいだ。
平腹に
「完全に八つ当たりだったな」
って言われたけど、別に斬島に避けられてるからって、イライラしてるわけじゃないよ…。
おやつに持ってきたクリームパンを平腹にも渡しながら問いかけた。
「えぇ〜、最初っからだな!!」
「あはは、平腹らしいね」
「じゃあさじゃあさ、佐疫は?」
「俺はねぇ〜、斬島がまだ小っちゃい時かな。」
「ははっ、犯罪者みて〜」
「いやいや、本当に可愛くて可愛くて…。鍛練とかすっごい頑張ってるし、変なとこでなんかぬけてるし、俺の作った料理をもきゅもきゅって頬張って可愛いしか言いようが無いよ。」
『いや、お前ら人の上でなに惚気てんだ!!リア充爆死しろ!!』
「ふぉ?死んだのはお前だろ?」
「…邪魔しないでくれるかな?蜂の巣にされたいの?」
『ほんっとっ、すみません』
「佐疫こえー、つーかこのパンうまいな!!」
「うん、約3時間前に斬島にクリームの作り方を教えてほしいって頼まれたんだよ」
「はぁ!?じゃあなんであんなに斬島斬島言ってたんだよ」
「あれくらいのふれあいじゃ足りないよ」
そう言いながら俺もクリームパンを食べる。うん、良い出来。斬島も喜んでたし、良かった。でもクリームなんて一体なにに使うんだろう?その後田噛と話し込んでたし……。はぁ、俺なにかしたかな?
「俺ら本当になにかやらかしたのかな?」
「う〜ん、ふぉなふぃだやっふぁときに」
「平腹呑み込んでから喋って」
「こないだヤった時に〇〇〇の×××で★★★したからなぁ」
「うわっ、それは田噛怒り狂ったでしょ」
「おう、半殺しされて焼却炉で燃やされた」
「使われて無いはずの焼却炉に火がついてたのはそのせいか」
そう言えばあの日、田噛の機嫌が悪いって言ってたなぁ、斬島。田噛の機嫌はどうでも良いけど斬島との話の話題になったから覚えてるよ。心配そうな斬島も可愛いかったな。
「さて、そろそろ帰ろっか」
「おう、そーだな」
『やっとリア充の惚気が終わった…』
なんか亡者が地獄を見たような顔をしてるけど、実際の地獄を見るのはこれからなんだけど。
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「佐疫、平腹、ご苦労だったな」
「いえ…」
「肋角さん!なんで俺と田噛一緒の任務にしてくんねーの!?」
「ちょっと、平腹!」
「…?なんだ、喧嘩してたんじゃなかったのか?」
「ケンカなんかしてねーよ!!」
「平腹、敬語くらい使って」
「佐疫ウルサイ!!佐疫だって斬島と任務行けなくてぶっ壊れてただろ!!精神的に!!」
「平腹、少し落ち着け。お前たち、斬島と田噛と喧嘩してるわけじゃないんだな」
「「はい」」
「ふむ…。先日斬島と田噛に、当分佐疫と平腹と任務を組まないでくれ、と頼まれてな」
「はぁ!?なんで!?」
「喧嘩でもしているのかと思ったが」
「違います」
「そうか…。」
「直接聞いてみます」
「あぁ、そうしてくれ」
「「失礼しました」」
2人が退室すると入れ違うように災藤が入室してきた。
「不器用な子たちだね」
「なんだ、聞いていたのか」
「盗み聞きのつもりは無かったんだけどね。にしても管理張、貴方は嘘が苦手なのかと思っていたんだが」
「時と場合によるな」
「成る程ね」
災藤は窓から帰って来た斬島と田噛を見下ろして薄く微笑んだ。
「さてさて、不器用なあの子たちはどうなるのかな?」
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…えっ?いやなにこの状況?えぇと、ここは俺の部屋。んでベット。寝てた。う〜ん、なんで…田噛が俺に跨がってんだろ?避けられまくってたのに…。あ、ゆm…
「オイ、クソ腹。ナニ二度寝しようとしてやがる。殺すぞ」
あ、ゲンジツですね。
「いや、田噛なにしてんの?」
「チッ、今日は5時までに帰ってこい」
「ふぁ?なんで?」
「いいから、帰ってこい」
「…はい」
恐ぇ。舌打ちされた。ツルハシで潰されるとこだった。つーか、今日魑魅魍魎の討伐任務なんだけど。昨日に引き続き佐疫と2人で。2人で5時までってキツくね?田噛は用件は伝えたらしくさっさっとどっか行っちまったし。本当なんなんだろ?
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「はぁ〜、なんなんだろうなぁ?」
「俺は久し振りに斬島と触れ合えるから問題ないよ」
佐疫が安定過ぎる。安定の佐疫?あぁヤンデレな。
「平腹、なにか失礼なこと考えてない?」
「ないない」
恐ぇ、コイツ読心術でも使えんのかよ。最近恐ぇしか言ってねぇ気がする…。
「そういや、なんか生者が浮かれてなかったか?」
「?…あぁ、今日はクリスマスっていう西洋のお祭りなんだよ」
「へぇー」
話してるとさっさっと田噛の部屋についた。一応ノックしてから入った…瞬間
パンパンパンパーン
「えっ?」
「なにっ!?」
いきなり紙吹雪だのなんだのが飛んできてビビった。部屋の中には田噛と斬島がいて、何時もは無いデカイ机(テーブル?)には…
「でかっ!!」
「えぇっ!?なにこのケーキ!?」
今日俺と佐疫ビビり過ぎだろ。机にはケーキが乗ってあった。…けどデカ過ぎだろ。
『佐疫…アレどれくらいあるんだろ?』
『円柱から三角に切り出した形をしているけど…一辺18p、高さ8p、頂点の角度60°くらいで
体積18×18×3.14×8×六分の一=1350立法センチメートル かな?』
「全然分からねぇ」
「でも斬島、いきなりどうしたの?」
まぁそれだよな。
「…その、佐疫には何時も世話になっているし…なにか礼をしたかったんだが、気恥ずかしくて。田噛と一緒に…」
「オイ、そこで俺にふるなよ。あー、まぁ、やるんだったら時期も近いし【クリスマス】ってのにあやかってみようかと…」
…田噛可愛いィィィィィィィィ!!!抱きしめたい抱きしめたい、抱きたい。
「ありがとう、斬島」
佐疫がお得意の猫かぶりで斬島に言った後耳打ちしてる。斬島顔真っ赤になってるけどどうでも良いや。
「田噛、田噛。ありがとな。愛してる!!」
「てめぇの愛してるは軽いんだよ。」
とか言いつつ抱きしめたら、抱きしめ返してくれた。可愛い。
その後は田噛と斬島が作ってくれたシチューとケーキを食べて佐疫と斬島が部屋に戻って即bed inしたら、翌日田噛にまた半殺しにされて焼却炉で燃やされました。あれっ?作文?
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後日談
「また燃やされたの?」
「だって…久し振りだったし」
「そういう時こそ優しくシなきゃダメだよ。」