菖蒲の夢物語

□初めまして
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ある日斬島、佐疫、田噛、平腹、谷裂、木舌の6人は敬愛する上司・肋角に呼び出された。

「一体どうしたのかな?」

そう言ったのは、(堕)天使と評される佐疫だ。佐疫、田噛、平腹、谷裂、木舌の5人は斬島に恋愛感情を抱いているが、斬島が鈍感過ぎるため全くや進展してない。

「急ぎの任務やもしれん」

奥手過ぎるためヘタレ扱いされる谷裂が応える。呼び出された理由について応測の会話を続けていると、執務室に着いた。

「肋角さん、木舌です。後全員居ますよ」

「入れ」

そう言われ、全員で入室する。肋角は何時も通り椅子に座り、そばに災藤が控えている。

「今日は、お前たちに伝える事がある」

「「「「「「はい!」」」」」」

「新しい仲間を迎える事になった」

「えっ!?マジマジ!?どんな奴!?」

「静かにせんか!!」

「谷裂の声も大きいよ」

任務ではない上に新しい仲間が来た、ということで平腹は一気にテンションが上がったようだ。

「実はもうこの部屋に居るんだよ」

災藤がそう言うと、平腹がキョロキョロと探しだす。

「オーイ、何処だぁ〜!新入りー」

「クックッ、ホラ出なさい。」

肋角が促すと机の裏からなにか出てきた。とてとて、そんな効果音が似合う足取りで出てきたのは、少年と瓜二つな少女たち(というよりは女の子と言った方が良い)だった。

「「「「「「…」」」」」」

沈黙が落ちる。あの平腹でさえ黙っている。少年と少女たちは兄妹なのか顔立ちが似ている。少年の方は心配しているような、怯えているような表情だ。それに対し少女たちはまったくの無表情だ。重たい沈黙を破ったのは木舌だ。

「可愛いなぁ、俺妹もいたら良いなって思ってたんだよねぇ。」

膝をおり、目線を合わせようとするが、少女たちは目をそらしてしまった。

「ありゃりゃ、嫌われちゃった?」

「あ、あっ、違います。」

木舌の発言を否定したのは、少年だった。

「すみません、妹たちは人見知りが激しくて…僕は風餓って言います。よろしくお願いします。」

風餓は妹たちに振り返り

「ほら、お名前と挨拶しよう。な?」

「「…うん」」

瓜二つの少女たちは同時に返事をしてから木舌に向き直り

「身夜」「身世」

一斉に名乗った。

「どっちがどっち?」

平腹は空気が読めなかった。

「身夜」

「身世」

「「双子なの」」

きちんと自己紹介出来た事に無表情ながら誇らしげないろが見える。見分けはつきにくそうだ。

「この3人は、獄卒としての素質はあるのだか…何分幼くてな。暫くは任務にはつかせず、武術等を学ばせる。色々と教えてやれ。」

「「「「「「はい!」」」」」」

「よろしくお願いしますッッ」

「「…蒼色」」

不意に身夜と身世が呟いた。
―――ドンッ
脚になにか衝撃を受けた斬島は、半ば無意識に見る。己の瞳より黒みが強い碧と目があった。

「「…抱っこ」」

ヒョイ、そんな音が鳴りそうな程斬島は双子を軽々 と抱き上げた。

(ちょうど良い重さだな…腕立て伏せの時に背中に乗ってくれれば良いおもりに…)

鍛練バカの斬島らしい思考だった。

「懐かれたな、斬島」

「…どうすれば良いか分かりません。」

「す、すみません」

「俺も抱っこしたいッッ!!」

「止めろ、平腹。お前がやるとそうそうに死ぬ事になる」

「確かにねぇ」

「加減を覚えろ」

「斬島、疲れたら言ってね」

斬島に抱かれた双子は満足そうに、頬を緩ませて笑っていた。

数百年後

見事に腐女子にな上にサイコパス、毒舌・怒Sになるとは、まだ誰も知らない。
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