菖蒲の勾配
□獄卒がブラック本丸の審神者に!?
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現世の生者から案内され、俺が派遣される本丸に繋がるゲートの前に立つ。鞄の中には、兄貴と
身世と生前から持ってるお揃いの御守りがある。
「鬼が御守りを持つなんざなぁ」
ゲートを潜るため、脚を進める。俺らが、好きな桜が舞っている。
「覚悟しとけよ、刀剣共」
聞こえるわきゃねぇが、一言呟く。俺ら兄妹をわざわざ離すんだ。多少厳しくしてでも、早く更正してもらうぜ。ゲートに脚を踏み入れた。
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「…なんだ、こりゃぁ…!?」
一歩足を踏み入れるとそこは、本丸だった。だが、雑草は伸びまくっていて、歩くのも大変だ。血であろう液体がそこら中に飛び散っている。
「ん…?狐?」
扉の近くに小さな狐がいる。書類を見ると本丸には、『こんのすけ』という式神のようなものがいるらしい。
「お前が…こんのすけか?」
「はい…新しい審神者様でございますか?」
「俺は獄卒だ、だけどまぁ審神者ってモンになる」
言いながら、こんのすけを撫でてみる。あまり良い手触りでは無いが、温かい…。俺達獄卒ではあり得ない体温だ。まぁ…死んでるからしょうがない
「俺は身夜だ
よろしくな、こんのすけ」
「よろしくお願いいたします、審神者様」
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「そういや、刀剣男士で一番厄介なのは、どいつだ?」
「前任の審神者様は…歌仙兼定様を特に気に入って居ました。初期刀ですし最も厄介だと」
「へぇ…そりゃ手合わせ願いてぇな。」
「そんなに僕の太刀筋が知りたいかい?」
「!?」
「逃げろッッ、こんのすけッッ!!」
「ならば…己が身で知れ」
ザッ
「かっ…ハッ…」
「きちんと首を落とさないと…ね。」
身夜を後ろから斬り付け首を落とした刀剣男士―――歌仙兼定。彼の周りでは桜が舞い踊るかのように散っている。
「う〜ん、風流だね」
そう言いながら、新しい審神者の死体に背を向き歩き始めた。