菖蒲の物語〜獄都事変〜

□肋角さんが皆の部屋をチェックするそうです
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全員部屋のチェックをするか
肋角がそう思ったのは、もちろん理由がある。

数日ほど前の話だ。木舌の部屋の前を通ると、扉が開いていた。そして酒の瓶が転がっていた。少し注意しておこう、軽い気持ちで扉を開いて驚いた。

木舌の部屋は、かなり汚かった。これは駄目だ、そう思い木舌を酔いから醒まさせ、ほぼ徹夜で掃除させた。そして翌日に思った。他の獄卒達の部屋は大丈夫だろうか、と。そして本日抜き打ちによる部屋チェックが行われた。

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まずは、斬島の部屋だ。

扉を開けると木舌とは、対称的な整理整頓された部屋だった。床にはゴミ一つなく、本棚はシリーズごとに入れられている。机の上には何も無く、ベッドに至っては、シワすらなかった。

(まるで、ホテルだな)

斬島らしい、と言えばらしい。とくに問題なし。ここまで真面目な部屋だと(日本語らしいおかしいのは、無視)逆にナニかを見つけたくなる。ということで、ベッドの下を見た。 結果、何も無かった

斬島の部屋をチェックし終えた肋角は

(斬島らしい部屋だったな)

そんな感想を思いながら、次の獄卒の部屋へと向かって行った。
獄卒達の部屋が、どうなっているかも知らずに…。

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「そう言えば…木舌の部屋はどうなっている?」

先日掃除をさせたばかりだが、心配だ。斬島の部屋からは、少々離れているが、木舌の部屋に向かった。

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「流石に片付いているな…」

木舌の部屋は、先日掃除したままの状態だった。多少空き瓶はあるが、ご愛嬌と言ったところだ。チェックを終えまたもや好奇心が沸きベッドの下を覗いてみた。

「ん?何だ、コレは?」

出てきたものは、斬島の写真だった。まだ小さい頃の写真や最近のものまである。コレだけならば、兄が弟の写真を持っていただけに見えるが…。明らかに盗撮に見える写真がある。その上…なにやら隅のほうが白くくすんでいる。肋角は、写真をベッドの下に戻しなにも見なかったコトにした。自分は疲れているだけだろう、そう暗示をかけながら。

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「次は…谷裂の部屋にするか」

木舌の部屋の隣が谷裂の部屋だ。先程の部屋を忘れようと谷裂の部屋の扉を開けた。

「谷裂らしい部屋だな。」

谷裂の部屋には、あちこちに筋トレ用の鉄アレイ等が置かれている。ベッドの下を覗いてもなにも無い。堅物の谷裂らしい部屋だった。

「ん?」

机の上を見るとなにやら写真があった。先程の木舌の部屋にあったような写真では、と身構えだ。写っていたのは斬島と館に住み着いている猫が昼寝しているところだった。まぁ、コレぐらいなら、と谷裂の部屋を出た。

残る3人の部屋は木舌がまだ可愛らしく感じるレベルだとも知らずに…。
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