オリジナル

□外見と内面
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「ねぇ、あの人めっちゃ美人じゃない!?」
「ほんとだー! すっごい綺麗! いいなー!」
「私もあんな顔に生まれたかったー」
「ねー。やっぱ元が違うよね、きっと」
「私らみたいなのは、どう頑張ってもあんな風にはなれないもんね」
「そうそう。あー、羨ましい」


 ふふん、当然でしょう。でも顔だけ? 他は? 羨ましいって……なにそれ。


「でもさー、美人は性格悪いっていうよね」
「あーそれ聞いたことあるー」
「やっぱ最初っから何もかも恵まれてると、意地悪くなったりするんじゃない?」
「かもねー。あの人もさ、よく見たらちょっときつそうだし」
「あはは、確かに。どんな美人でも性格悪いのは嫌だよねー」
「うんうん。やっぱさ、多少ブスでも性格良い方がいいっしょ」
「そう思うー。でも男って見た目ばっかりじゃん」
「ほんとそれ。わかってないよねー」


 はぁ? なにこいつら。なんで見ず知らずの他人に勝手に性格悪い認定されなきゃいけないんだよ。結局自分らを正当化したいだけだろ。
 確かに顔は生まれつきよ。両親には感謝してる。でも、私は常に綺麗であるために努力してるの。スタイルキープのためにずっとダイエットしてるし、ファッション誌も読み漁って、流行の研究を怠ったことはない。どんな時だって、人からどう見られてるか意識して生活してる。そんな私が、何も考えずに好き勝手に生きて、地味で脂肪たぷたぷのあんたたちに劣るわけがないでしょ。
 彼女たちはどうして努力しないのかしら。綺麗になりたいなら、羨ましいと思うなら、文句を言う前にまず努力すればいいのに。小さなことでも、何もやらないよりは絶対に良くなるんだから。ただ妬んで愚痴を零すだけの女の、どこが性格がいいのやら。
 
 ――なんて、澄ました顔してぐちぐち思ってる私も、やっぱり性格悪いわね。

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