U:ふれあい
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「ふぁ...」
朝7時。ローズは身を起こして欠伸をしながら思いっきり伸びをした。
頭はまだ覚めずボーっとしていると、テリーが朝の紅茶を持ってきた。
夏休みと言っても朝寝坊は中々できない。
ここには、たくさんの保護者がいる。
彼らは丁寧にローズへ夏休みのスケジュールを作成していた。
朝部屋から出てこないとなったら、総出で部屋に来られることだろう。
大人達と過ごすことのできる時間を嬉しく思いながら、何か変化を求めている自分がいた。
でもそんな気持ちも今日で終わり。
明日には多くの教師が帰り、自分の相手になってくれる人が来る。
その人がどんな変化をもたらしてくれるのか、不安なような、楽しみなようなくすぐったい気持ちでローズは中々寝付けなかった。
ある程度頭が冴えてくるのを待って顔を洗い適当な服に着替えた。
適当と言ってもアルバスがどんどん新しい服を買ってくるため、ほとんど初めて袖を通すものばかりだ。
紅茶が入ったカップをぐいっと煽り、ローズは部屋の外へと駆け出した。
もう部屋の出入りを制限されてはいない。
与えられたささやかな自由を感じながら城の外へ出た。
まだ太陽の光も強くはなく、頬を撫でる風を気持ちよく感じられる。
しばらく歩くと少し離れたところから吠え声が聞こえた。
「ーーーファング!」
嬉しそうに跳び跳ねる大型犬はハグリットの相棒。
朝の日課としてローズは毎朝ファングと散歩をしていた。
普段は好奇心のまま突き進むファングも、自分より小さく見える人間の前ではまるで子供を見守るようにローズの歩調に合わせて進んでくれる。
長くはない散歩コースだったが、ローズはこの時間
を大切にしていた。
綱が離れて自由に駆け回った後、満足そうな顔をして自分のもとへ帰ってくる大きな大きな犬を思いっきり抱き締める。
「明日から来る人は、一緒にお散歩してくれるかな?」
とぼけた顔をするファングの耳の後ろを撫で、ローズは小屋へ戻った。
ハグリットに声をかけ、目を覚まさせるのもまた彼女の役目だった。
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