U:ふれあい
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ーーーー優しそうな人
それが最初の感想。
白髪混じりで全体的に疲れた色が見えるけど顔はまだ若々しさが残っていた。こちらがびっくりするくらい緊張のない優しい笑みを浮かべていて、いつもならまず初対面者から隠れようとしてしまうローズですら安心を感じさせてくれる表情だった。
「はじめまして、ローズ。私はリーマス・ルーピン。君と夏休みを一緒に過ごしに来たんだ」
穏やかな物腰で、彼はゆっくりと手を出した。
立ち上がりながらローズも挨拶を返すが、やっぱり緊張は少しあって声が上擦ってしまう。
「あ...あの、はじめまして。ローズ・ホワイトです」
その声にちょっとだけ苦笑しながら彼は尋ねた。
「近付いても、いいかな?」
構わない、という意味でコクコクと頷けば、数歩の距離を彼は何故か時間をかけてやってきた。
「よろしくね」
再度出された手をローズはしっかりと握った。
「私の方こそ、よろしくお願いします、ルーピンさん」
「リーマスでいいよ、ローズ」
「...はい」
「敬語もなくていい。私は先生ではないからね」
「分かりまし...えっと、うん。よろしく......リーマス?」
おずおずと顔を上げれば、満足そうな彼の笑顔。
「よくできました」
それはまるで、
ーーーーーー私の反応を楽しんでる?
......なんだかただ優しいだけの人じゃなさそう。
そう思いつつ、ローズはリーマスと手を繋ぎながら城の中へと戻った。
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