U:ふれあい

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その日、ローズは図書室にいた。


ダンブルドアからもらった海外の絵本を自分でも読めるように、と分厚い辞書をめくっていた。



挿絵が多いので何となく話のイメージはつくのだが......

「お姫さま、は? を? あーーー、王子さま、に...が?」




............。





中々読めない。






ーーーー私って、文学苦手なのかな?



アルバス...は忙しそうだし、帰ってきたミネルバやポピーは新学期の準備が大変って言ってるし...。




リーマスに教えてもらおう、と絵本を抱え1階をパタパタと駆けていると玄関ホールで強烈な香水の匂いにぶつかった。



「おやおや?」



知らない声に一瞬で緊張が走り、謝ろうと顔をあげると、とても整った顔立ちの男の人が興味津々な顔でこちらを見ていた。


「.........」
謝ろうと思ったのに、整っていたその人の表情が今や目と口をこれでもかと開けていて。その顔に驚いてこちらも言葉が出なくなってしまう。



「天使......?」



淡いブルーの瞳が綺麗だな、とどこかぼんやりと考えていたら突拍子もない言葉が出てきてローズは面食らってしまった。


「あの、えと、わたし、は......」



動揺して吃ってしまうローズをよそに、その人のは興奮したように顔を赤く染めた。

「きゃっ」
突然脇の下に手を入れられ、高く持ち上げられた。
びっくりしたが、暴れて落ちるのも怖い。自分をキラキラした目で見てくるこの大人をどうしてよいか考えて、そして何も思い浮かばなかった。

彼は何やら声高に叫んでいるが、内心パニックでなにも聞こえない。



「素晴らしい! 私の理想の...」



「ローズ。新しい先生に挨拶していたのかい?」



ヒョイと体が再び持ち上がったと思えば、今度はリーマスがローズを抱いていた。見知った顔に安心してリーマスの首に手を回して力を込めると、優しく背中を叩いてくれた。


「...おや、君は?」


「私はこの子の世話係、リーマス・ルーピン。そして...」



そして、声だけでものすごく機嫌が悪いことを察知できるくらいに低い声がホールに響いた。


「新任の挨拶はまず教師同士で行うものではないですかな?」


リーマスの肩越しに、口角は上がっているのに目が全く笑っていないセブルスを確認してやっとローズは息をつく。


「新しい、先生...?」


恐る恐る後ろを向くと、仰々しく両手を上げた男が白い歯を見せてそれはキレイに笑ってみせていた。


「私の名はギルデロイ・ロックハート。新学期から闇の魔術に対する防衛術を担当する者だ」





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