U:ふれあい

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最初ハリーはマルフォイが言った言葉を理解できなかった。しかし双子はマルフォイに跳びかかり、フリント達はそれを食い止めようと構え、グリフィンドールの女性陣は金切り声を上げるという異常事態から彼が大変な悪態をついたのだと予想はできた。

特にロンは今まで見たことのない形相で、ローブに手を突っ込んだかと思うと杖を取り出した。


「よくもそんなことを...!思い知れ、マルフォイ!!」



ハリーは頭がついていけてなかったせいで、ロンが杖を掲げた時に思わず止めようとしてしまった。別にマルフォイに呪いがかかろうとどうでもいい。我を忘れそうになっている怒りを鎮めなければ、と思ったのだ。



「ロ......」



まぁでも間に合わず。
折れた杖は逆噴射し、ロンは特大のナメクジを吐き出した。


あまりの大きさと、口から出てくる物としてはかなり嫌悪感を抱く生き物の登場にその場の空気が一瞬止まった。
その中で最初に動き出したのはハリーとハーマイオニーだった。
「ロン!ロン!大丈夫?」

ハーマイオニーは背中をさすりながら声をかけたが、ロンからは返事の代わりにナメクジが出てくるだけだ。


ゲップとともに大きなナメクジを次々に口から出すロン。泣きそうなハーマイオニー。笑い転げるスリザリンチームに殴りかかるフレッドに、ロンに効きそうな呪文を片っ端から唱え始めるジョージ。


怒り、心配、笑い声とゲップが響き渡る混沌の中でハリーは競技場の向こうにある小さな小屋を思い出した。


「ハグリッドのところへ連れて行こう。きっと何とかしてくれる」








途中こんな状況で写真をとろうとするコリンを叱りつけ、ハーマイオニーと二人でロンを抱えながら歩いているとローズがやっと追い付いた。
本当はハーマイオニー達が来た方向に戻っていただけなので大分前から気付いてはいたものの、背の高いロンを抱えるて視線が下を向いていたため近くまで来れたことに気付かなかった。


「はぁ...はぁ...ロン、だい、じょぶ......じゃないみたいだね」


ハグリッドの小屋へ連れて行くというと、ローズは申し訳無さそうに顔を歪めながら息も絶え絶えに頷いた。

「わか、った...。さき、行って...わたし遅い、から」


騒動が起きている場所に1人残していくのもどうかと思ったが、スリザリンチームもコリンも今や遠くでまだ騒ぎを続けている。その様子を見てハリーは待ってるね、と言って競技場を出た。








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