銀魂( 神威受け)

□俺には戦いしか生きる理由がない
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「 俺には戦いしか生きる理由がない。」






それを阿伏兎に話したときの、
阿伏兎の情けないような何とも間抜けな顔を忘れられない 。



俺の生きる理由は戦いしか無い。
血飛沫の祝杯を浴びると、
これが俺の生きる理由だと特に実感する 。




昔からそうだし、今だってそう 。
阿伏兎にそれを話してからもう何年経つだろうか 。










*






「 団長、やっぱり今でもそう思うのか?」


ソファに腰掛けていた阿伏兎が立ちたがり思いつめたように聞いてきた。



「 何の話? 」



「 今でも自分の生きる理由は戦いしか無い、と 。 」




「 ああ、、 思うね 。 」




あの日と同じ顔をされる。


そんな顔するぐらいなら聞かなきゃいいのに。





「そんな可哀想な奴を見る目で見んなよ。俺はむしろ自分の夜兎としての人生を謳歌してるんだからさ。」



「 夜兎としての ……か 。」






阿伏兎にまっすぐと目を見つめられる。
さっきとはまるで違う、射抜くような視線。





「 じゃあ、神威としての生きる理由もそれか? 」




「 え、 」




「 俺の場合夜兎としての本能はただ血を求めてるだけだ。けど、」





その時、突然視界が覆われた。




目の前にあるのは阿伏兎の胸板だと気付き、




やっと抱きしめられている と分かった。






「 俺の戦う理由はいつだってお前を守るためだ…神威 」




「 阿伏兎 ? 」




「 まぁ、その、お前の方が俺より相当強いんだけどな … 」






そう口ごもりながらも阿伏兎は更に俺を強く抱きしめる。




阿伏兎の腕の中がこんなにもあたたかいなんて知らなかった 。


抱きしめられてる自分の身体がなんだか熱く感じる。


耳元で鳴り響く阿伏兎の心臓の鼓動はひどくうるさいけどたぶん俺のも同じくらいうるさいと思う 。






「 阿伏兎…すっごいどきどきするんだけど、なんか安心する…なにこれ ? 」



「 っ、自分で考えろすっとこどっこい…!」




思えば阿伏兎と出会ってからは、
いつだって阿伏兎が側に居た 。



だからこそ俺は思いっきり力が出せてたんだと思う 。







俺の生きる理由はやっぱり戦うことだと思うけど 、








「 ねえ阿伏兎、夜兎としての俺が今生きてられてるのは、阿伏兎が居たからだと思うよ 。 」




「 …今はその答えだけで十分だ 。」






くしゃり、と大きな手に頭を撫でられる。




相変わらずどきどきと心臓の音はうるさいし、撫でられた頭はひどく熱く感じる。


なのにとても心地いい。





戦闘中に感じる高揚感は本能から来る快感だとはっきり分かるのに 、



この感覚が何なのかは、
やっぱり分からない 。


でももう少しこのまま阿伏兎に全てを委ねて抱きしめられていたい。


そう心から思った 。



end .
 

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