現代作品

□その男ふしだらにつき
1ページ/5ページ


チビ、チビ、チビ。
そういう風にずっと言われ続けて十七年。

もう言われ慣れて、流し方さえも分かってしまった。

けれど....ただ一人だけ。
未だに腹が立つ。



今度高校二年になる宮城 秋彦(みやぎ あきひこ)は2LDKの大きなリビングとダイニングキッチンに一人、料理を作る。
両親は海外に出張しているので、兄のマンションに一緒に暮らしている。

ガチャ....

「ただいまー」

そんな最中、自宅に帰ってくる男。
玄関の扉を開ける小さな音が聞こえ、その次にこのリビングへと繋がる扉を開けるだろう。

ガチャン!

「んだよ、チビ彦!おかえりぐらい言えよ!」

なんとも遠慮が無いこの男は、俺とは全くの真反対な男。宮城 千春(みやぎちはる)という兄だ。
長めの明るい茶髪の髪はしっかりと外ハネをされたセットがされていて、服装はスーツにYシャツが肌蹴ている。
手と首には銀の装飾品を付けて、いかにもホストと匂わせる香水。そして何より185cmという高身長にハイクオリティな顔。
ホストとして成功させて、今ではお店のナンバー2だとか。

打って変わって、俺は流行りには無頓着で、髪は眼鏡を掛けている俺に邪魔にならない程度の長さ。
服装は上下ジャージ。
そして決定的な違いが165cmという身長。
これらの違いにより、モテ具合が全く違う。
同じ血が通っていて、同じく飯を食べているはずなのに、この違い。
怨むなら神様に怨むしかないだろう。

お陰で昔から千春には“チビ彦”というアダ名が付けられた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ