現代作品
□学園へようこそ
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爽やかな朝に突如として、それは起こる。
「要。二学期から、転校することなったぞ。しかも、あの有名な慶王大学付属高校学園だ!」
意気揚々と話されるが、こちらとしては寝耳に水。
しかも、あそこの親は金持ちだらけの男子学園。
係長ぐらいの父の収入で通えるほど、ウチは裕福でないことは知っている。
「父さん。夢でも見たの?現実は公立高校の…」
「要!父さんを馬鹿にするなよ!会社のお偉いさんと食事をする機会があって、その時にお前の話になったんだ。それで話を通しておくから転校しないか?ってお誘いがあって、そこに入れば将来は安泰だし、お父さんも鼻が高い!」
いやいや、子供の意見は完全無視かよ…
何処かネジが緩いというか、猪突猛進というか…
そういう性格の父親に慣れている俺はいつも通りの予定調和だけど、母はその父の性格に耐えられず、離婚を決意した。
俺の親権は母が放棄した為、父に育てられた。
父は家事が一切出来ないが故に、その代わりに俺が黙々と家事を小さい頃からこなしてきた。
今では立派な主夫になれると言っても過言ではないぐらいにテキパキとこなす。