ファンタジー作品
□輝く君に癒される 第1章ー前編ー
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何とも言えない騒めきがする....気がする。
そう思って目を覚ますと、殺風景な部屋とは全く異なる場所にいる。
目の前の光景はまるでお城みたいな感じ。
一瞬どうしていいのか分からず、固まってしまう。
「意識が戻ったようだね」
そう、声を掛ける方に顔を向ければ、顔がモデルの様に整い、腰まである長い金髪の男が立っていた。
少し雰囲気が緩い様な感じだ。
「あの....ここは??」
「ここは魔王城の中だよ」
「ま、魔王じょ....う??」
金髪男の言う単語がゲームやファンタジー小説でしか存在しない場所に次の言葉が詰まってしまう。
これは夢なのか....?
でも、しっかりと俺は意識がある。
俺は頭の中で整理しようと必死になっているのを遮るように金髪男は話し始める。
「君は魔王城近くの魔石洞窟の中で倒れていたの発見して、ここまで運んだんだ」
「魔石ど....」
俺が金髪男に聞こうとした時に、扉を開ける音が聞こえ、金髪男は扉の方に振り返る。
「ベルディーン。彼はどの様なご様子で?」
「アルド様。たった今、彼は目覚めました」
聞き慣れない名前に此処は日本で無いのは察する。
いや、最早ここは俺の住んでいた場所でも無いことも理解する。
「具合の程はいかがで御座いましょうか?」
これまたモデルのような顔立ちで、銀髪が肩まで伸び、耳に掛けてスッキリとした男が俺を除き込む。
キリッとした表情と雰囲気に、俺は緊張する。
「あっ....その....平気です」
銀髪男は表情が緩やかになる。