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□年下王子の扱い方 第一章
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俺はとあるメーカーの総務・人事部で働いているサラリーマンの月島瀬名(つきしま せな)

入社して今年で四年目だ。
それなりに仕事も覚え、毎日が楽しく過ごしていた。

報告があって、製造部に行こうと廊下を歩いていると声を掛けられる。

「おい!月島!」

振り向くと、同期の国重(くにしげ)だ。
国重は製造部に配属されていて、各工場に出向き、新製品の製造などを手掛けている。

「ちょっと喫煙所行こうぜ」
「うぉ!ちょっ....!」

半ば無理矢理、連れて行かれ喫煙者でも無いのにガラス張りの喫煙所の中に入れられた。

「今回のあれ....結局どうなったんだよ?」
「あれ?何のことだ?」
「ウチの会社で働く筈だった子が、寮に荷物と貴重品をそのままにして消えたって話だよ」
「あぁ....」

国重が言っているのは、つい前に遡る。
普通ウチの会社では、大体は入社式の二、三日前に寮を希望した子が入居する。
しかし、今回は珍しく三月の頭に男の子が入居した。
そしてその子が突然と居なくなり、最初はバックれたのかと思われたが、家財道具、荷物、貴重品は全て残されていて、遺書なども見当たらなかった。
親戚に確認も取ったが行方は分からなかった。

会社は警察に届出を出し、事件の可能性を視野に入れられ、そのままの形で残っているが未だに発見はされていない。
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