他CP小説

□従順な犬
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数日前から、バイト先のコンビニにかわいい子が来るようになった。


こう言えば聞こえは良いが、何を隠そうその子は制服を着てるから恐らく高校生だ。その上、女子高校生ならまだ分かる。残念なことに男子高校生だ。

背は高い。たぶん俺よりも。

別に俺はホモって訳じゃない。今はいないが彼女だっていた。
けど、ときめくとか、そういうのは今まで無かった。


その子はいつもコーヒーを買っていく。108円の、安いコーヒーだけ。
店内をうろうろして、今日は別の物を買うんだろうかとかいろいろ期待してみても、結局レジに持ってくるのはコーヒーひとつ。


「お願いします」


高校生でこれがちゃんと言えるのは、偉いと思う。
コーヒー缶にテープを貼り、お金を受け取る。110円だから、2円のお釣り。

レシートと一緒に小銭を手渡すとき、ほんの一瞬だけど手が触れる。


「…ありがとうございました」


店員なのに、我ながら元気のない声だ。
それを上回る元気な声で、その子は言う。


「ありがとうございます」


にっこりと微笑んだときに見える八重歯。

かわいいと思った。



…ただ、それだけなんだけど。



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