いつもいっしょ2

□オラシオン
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「休憩するか....俺、ちょっと外出てくる。」
「分かった。」

明はため息をつきながら出ていった。和は席に座りながら小さく返事をした。真央も続けて出ていった。

「脱退か。寂しくて泣いてる?」
「違うよ。それもあるけど、なんか凜くん。寂しそうっていうか..辛そうで。」
「そんなこと分かるんだ?」
「感じるの。」
「大河はすごいな。」
「そんなことないよ。」

するといきなり凜太は立ち上がった。そして叫びながら、右手をテーブルに叩きつけた。何度も何度も。

止めにいこうとする大河を和は制した。

「なんで?」
「自分に戦ってるから。邪魔しちゃいけない。」
「でも血だらけだよ!そんなこと言ってる場合じゃないよ!」
「ダメなんだって!」
「二人ともありがとう...気使ってくれて。」
「それは...」

凜太は笑った。左右の拳は血だらけになっていた。大河は駆け寄る。

「大丈夫、こんなのいつもなんだよ。俺、短気だからすぐ手が出ちゃう。小さい頃からたまにあいつを傷つけてて、何度も手を殴ったりしたんだけど無理で...」
「反省はしてるんだから良いことだよ。」
「よくねぇよ。反省したところで、って話だ。手とか無くなりゃあいいのに。そしたらあいつを傷つけないですむ。触れられなくても一番それが良い。」

凜太は二人から背を向けまた自虐を始めた。大河は走って出ていった。

プールサイドにたどり着いたゆう馬は寝そべった。青く透明なプールを横にゆう馬は考えた。

もう我慢できない。脱退したっていい。どうせ凜太は謝る気なんてないんだろ。

「ゆうくん!!」
「...大河?」

大河は話した。ゆう馬は驚きながら走った。そう、凜太のもとへ。

ガチャン

座り込んでいる凜太に抱きついたゆう馬。凜太は泣いていてなにかを言い終えたように息は荒かった。

「ごめん。俺、凜太は反省してないと思ってた。大河から反省してるって聞いて、凜太も痛い目に合ってるって聞いて。間違ってたって気付いた。凜太は脳よりも先に手が出るって分かった。さっきまで嫌いとか脱退するとか考えてた。でも、嫌いになれなかった。会いたかった、好きだから。触れたかった、守られたかった。」

ゆう馬の表情は真剣で一人称もかわっている。
凜太は顔を隠すように両手で顔を覆った。

「凜太も苦しいんだって。だから俺が守らなきゃって。ずっと守ってくれてたから。」
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